池田活版印刷所便り_Blog

松永まり子さまは、隣町にお住まいの同年代の素敵な方です。以前名刺を注文されたとき、「俳句集を作ろうと思っています。その時は池田さんにお願いします。」と言われました。本作りはやったこともないのに、おまけに私はまだ初心者。身の程知らず、無知…と。でも、うちにはレジェンド永戸さんがいるから、出来ると簡単に引き受けました。今思えば、だいそれたことでした。

本は、こうやって出来るのかと勉強しました。

128の版を組みました。ページを絶対間違わないように。両面印刷だから、上下左右がぴったり合わないといけません。大きい機械に慣れていないので難しかった。古い機械だから、微調整を繰り返しながら一枚一枚手ざしで刷ります。インキが濃かったり薄かったりするので、ネジを回して調節したり、薄い紙を胴に貼ったりして、四つの句が同じような濃さになるようにします。この間、レジェンド永戸さんが入院となり、孤独と未熟さと不安な毎日を過ごしました。それでも仕上げたい、松永さまの期待に応えたい、喜ばれる顔を想像しながら頑張りました。松永さまは時々様子を見に来られます。製本をお願いするシモダ印刷の下田社長様からはアドバイスをたくさん頂きました。先代の頃からお世話になっている肥後印刷の本田社長様からは小さなことまで丁寧に手取り足取り教えてもらいました。ありがたいことでした。

半年後、永戸さんが復帰していよいよ本刷り。家族総出で刷り上げました。達成感は今までで最高でした。新しいことが出来たという自信になりました。池田活版印刷所に新しい1ページが加わりました。気長に待っていてくださった松永さま、ありがとうございました。本になったこの一冊は才能溢れる松永さまの俳句で満たされていますが、活字のよさも味わっていただけるのではないかと自負しています。ぜひ、手にとってご覧くださいませ。DSC 3579

    先週金曜日、午後から工場に音楽が流れ始めました。いつもは、ラジオの音楽を聴いているのですが、その日は常連さんがレコードプレーヤーを持参されたので、急遽、音楽鑑賞会となりました。

    興味津々、レコード盤の回るのをみんなで眺めました。私は、久しぶりにレコードを見ました。いっしょに来られた若いお客さんは初めてレコードの回るのを見られたようで、不思議そうに温かい音に感動されていました。レコード盤に針を下ろすところからレクチャーされて、笑い声が上がりました。カーペンターズとナッキンコールが、ストーブの湯気の立つ工場の中で懐かしく優しく広がりました。

活版印刷所にレコードの音は合うなあと思いました。古くて新しいものですものね。ガッチャンガッチャンの機械の音も好きですが、包み込むような話しかけるような音楽は普遍です。そして、流れてくる曲がみんなの心を一つにして、ゆったりとした時間を共有し音を楽しむことが出来ました。Mさま、ありがとうございました🎵DSC 3541

  1月初旬に活版印刷で結婚式の招待状を作りたいとお二人で来られました。私の古い感覚の招待状のイメージとは全く違い、若い二人が力を合わせて考えられた文章やデザインは温かく上品でした。カードの表に活版コードを入れたい、その中に「祝」を赤文字でというご希望でした。土曜日毎に来店されたので、打ち合わせが入念に出来てよかったと思いました。

  紙は厳選されたものを持参されました。クリーム色で、カードと、内カードと、封筒の三点セットです。落ち着いた色で、爽やかさと華やかさのあるお二人にお似合いの紙です。

活版印刷でよかった、と喜んでもらえるように微調整を繰り返して印刷をし上げました。赤の「祝」は手押しです。歪まないようにかすれないように細心の注意を払って、二人が幸せになられますようにと祈りながら押しました。

納品の日。

「可愛い💠」「凄い❗」の第一声にホッとしました。祝の赤がとてもいい、書体が違うのがいい文字の組み合わせがすごくいい、理想どおり、プリンターで出すのと全然違う、もう人にあげたくないなど、満足されたようでした。

世界に一つだけの招待状になりました。こんなに思いの込められたものが出来て嬉しいです。活版印刷は視覚と触覚で楽しめるんですね。

嬉しいお言葉、ありがとうございました。

お二人に幸あれ。DSC 3504